ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

明日菜と話しているときには気づかなかったけれど、一人になってみて、急にこの街に置いていかれた子供のような、そんな不安と寂しさが襲った。

どうしてわたしの周りばっかりが花盛りなんだ。

もうわたしは女として枯れてるってことなの?

普通に恋愛したい。

漫画みたいな恋でいい。

自分に見合う男の人とキスしたいし、それ以上のことだってしたい。

今日みたいに素敵なラブソングを聞けるアーティストのライブで彼氏と一緒にいって同じ時間を共有したい。

どうしてわたしばっかり。

「どうしたの。泣いてるけど」

気がつけば陸橋のたもとに座っている女の人の前で泣いていた。

腰まである長い髪に数珠のようなビーズアクセサリーを首から下げ、紺色のロングワンピースをきて簡易椅子に座り、わたしを見上げていた。

「あ、ごめんなさい」

「いろいろあったんでしょ。あなたの目線の向こうに男がいたし。だいたいのことはわかるわ」

女のひとはわたしを見るなり、やさしく笑った。

涙を拭き、視線を下に降ろす。

色紙に描かれた見覚えのある絵が並んでいる。

どきん、と胸が鳴る。

「これって。もしかして二階堂重彦先生の挿絵じゃ……」

二階堂という名前にヒットしたのか、女のひとは目を丸くした。