ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

バスターミナルで明日菜と別れ、デパートで買い物をしてから帰ろうとしていたときだった。

駅周辺の界隈、とくに駅の連絡通路である陸橋を行き来する人の波が時間を追うごとに増えていく。

夕刻の帰り時間と重なっているからかもしれないがそれにしては若者の数が多い。

その中で社会人のカップルらしい人たちが歩いていた。

見たことのある背格好に髪型。

わたしを振った、あのひとだ。

横には女性を引き連れて歩いている。

わたしよりも数段に若くてかわいい子だ。

こちらの視線に気がついたのか、その男は悪びれもせずに近寄ってきた。

「奈々実」

こんな状況でよくわたしの名前を呼ぶよな……。

隣でいた女はわたしを見るなり睨んだけれど、わたしの微妙な洋服のセンスを一瞬で理解できたのか、半笑いを浮かべてみていた。

「デートの帰りか?」

「う、ううん。友達と遊んできたところ」

ふうん、とその男も女と同様に半笑いを浮かべた。

「早く彼氏できるといいな」

「う、うん」

隣の女がむすっとした顔をして、男の裾を引っ張っている。

「ねえ、行こうよ。ライブ、始まっちゃうよ」

「じゃね」

お揃いの青い生地に白でバンドの名が刻まれたTシャツにジャケットを羽織ってコンサート会場へと向かっていった。

近くにあったアリーナの案内板をみると、男女ともに人気のバンドが駅近くのアリーナで行われる。

同じくカップルだと思われる学生だったり、社会人だったりが顔を見合わせうれしそうな笑顔を浮かべて会場へと吸い込まれていく。

ボーカルの歌うラブソングを聞けるなんてうらやましかった。