ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

夏休みになってデートを重ねてから、一緒に住みたいとお互い思うようになり、夏休みが開ける前に会社の近くに新築のいいマンション物件を探せたので引っ越すことになった。

染谷さんはわたしと桐島課長が付き合っていることを薄々知っているのか、社内恋愛でいつかは幸せをつかみますよーと張り切っていた。

牧田先輩は夏休みが明けてますます化粧を変えたり、髪の毛の長さを変えたりしてますます色気を増している。

総一郎さんの話で大崎さんとのおつきあいは順調で夏休みは海外旅行をしていたと自慢してきたそうだ。

牧田先輩の制服からのぞく、ほどよくきれいに肌がやけているなあ、とまじまじみていると、牧田先輩から桐島とはどうなの? と聞いてきたので、幸せです、と答えると、あたしもよ、とさらりといい、受注票間違っていたから直しておいたからと、注意をさらに付け加えられた。

総一郎さんが少し残業してから帰ると、昼休み一緒に非常階段で過ごしたときに話をしていたので、先に家に戻って夕飯の支度をしていた。

「奈々実、ただいま。二階堂月彦の新作、買ってきたよ」

総一郎さんが紺色のビニール袋をわたしにみせつける。

「新作?」

「先に読ませてもらった。この話、不思議なんだよね。俺たちの恋模様のような話になってるんだ」

「えっ」

総一郎さんからビニール袋に入った本を渡された。

中から取り出し、ページをめくって二階堂さんにしてやられた、と思った。

淡い桃色の表紙が印象的の二階堂月彦著の『恋べた』。

主人公月野まなみが霧谷課長と恋に落ちる前に海堂と名乗る恋愛コンシェルジュマスターが二人の恋の応援をするという、だいたいの話がわたしと総一郎さんとの恋の話だった。