ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

初夏の嵐だった星彦さんがいなくなったあとは、特別変わったこともなく、通常業務で仕事が進行していた。

すでに染谷さんは別のターゲットをみつけたようで、新人の男子がよさそうなんですよね、と嬉しそうに報告してくれた。

牧田先輩は以前よりも色っぽくみえるのはメイクを変えたからだろうか。

大崎さんと付き合うようになって女性の自信を取り戻したのかもしれない。

それでも、ミスがあれば怒るし、しっかり仕事ができれば褒めてくれる、普通の先輩として接してくれた。

桐島課長とは昼休みに食事をしたかったけれど、桐島課長が午後から会議が入っていたので、結局いつもと同じ流れにのって非常階段で昼休みを過ごした。

気持ちだけバタついたけれど、ようやく週末になった。

土曜の朝、部屋のチャイムが鳴ると、前髪を下ろした桐島課長が立っていた。

茶色のフレームのメガネをかけ、濃紺の薄手のテラードジャケットに白色のTシャツ、黒のタイトパンツをあわせている。

わたしといえば、前日何を着ていいかわからず、ギリギリまで月彦さんへメールを出して相談した。

女性らしいほうが相手の男性に好印象ですよと提示された洋服を会社帰りに洋服屋へ行って購入したものだった。

髪の毛を少し巻いて半袖の白色シフォン素材のブラウスにピンク色の膝丈スカートをチョイスした。

こういう服を着ることがなかったから恥ずかしい気持ちがいっぱいだ。

「かわいいね」

「あ、ありがとうございます。桐島課長も素敵ですよ」

「そういってもらえて嬉しいよ。じゃあ行こうか」

「はい」

しっかりとしたデートは初めてだったからすごく緊張した。

電車に乗り込み、終点のターミナル駅へと向かった。

駅に降り立つと、週末ということもあり、コンコースには人があふれかえっている。