ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

そういえばさっきから星彦さんはわたしの顔を覗き込んでいる。

「で、どうなったの? 桐島課長とは」

桐島課長のこと、気にかけていたんだ。

さすがに社内だからおおっぴらに桐島課長から交際宣言するはずもないよな。

「えっ、まあ。付き合うことになったというか……」

わたしの口から直接星彦さんに伝えるのは気恥ずかしかったけれど、言った途端、胸のつかえがとれたかのように気持ちがすっと軽くなった。

「そっか。じゃあ僕の出番はないか。まだ付き合ってなかったら遠距離でもどうかなって思ってたんだけど」

「まだ諦めてなかったんですかっ」

「どうかなー。この答えは秘密にしておくよ」

星彦さんは笑いながらエントランスまで歩いていく。

わたしも星彦さんの後ろをついて歩いた。

出入り口にさしかかったとき、星彦さんがくるりと後ろを向いて立ち止まった。

「大丈夫。ずっと二人、幸せになっていくから」

「ありがとうございます。二階堂さんもまたいつかどこかで」

「星野さんみたいな純粋で素敵な女性をみつけるまで頑張るよ」

星彦さんの爽やかな笑顔に心が洗われるような気がした。

「何かあったとき、もしかして星野さんの目の前に僕がいたとき、そのときは覚悟しててね」

「えっ」

それじゃ、と軽く手をひらひらと振って二階堂さんは会社を後にした。

相変わらず星彦さんはよくわからない人だったな、と思いながらわたしも総務へ戻った。