ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

お昼休みも終わり頃になったけれど、堂々と桐島課長と二人で帰ってきたところで総務の人たちにみられるのもどうかと思い、桐島課長が先に出ていってから、あとから総務へ戻った。

総務に戻って机の上に置かれた最終のマニュアル原稿を持って生産機械設備課へと向かった。

お昼休みが終わってすぐということもあり、こちらの課もまだ仕事のエンジンがかからずにぼんやりと仕事の準備をしていた。

大崎さんがわたしが来ているのをみるやいなや、すぐにわたしのいる受付カウンターの前へとんできてくれた。

「これ、マニュアルの最終です」

「奈々実ちゃん、ご苦労様」

大崎さんに原稿を渡すと、一気に力が抜ける。

これで今年も無事に原稿が納められたと思うとほっとする。

大崎さんに促されるように応接セットのある場所へと案内され、大崎さんと向かい合わせに座った。

「いろいろ苦労かけたね。マニュアルも、総一郎のことも」

「えっ」

「牧田から聞いた。おかげで付き合うことになったけど」

「そ、そうですか」

わたしの反応に大崎さんは照れくさそうに笑っている。

早速牧田先輩から大崎さんの耳に入るなんて。

こちらも無事、恋愛が成就したのか。

結局、あの牧田先輩とのごたごたのおかげでうまく事が運んでくれるとは思ってもみなかったけれど。

「奈々実ちゃんがその気だったら考えてもいいかな、って思ったけどね。さすがに桐島がにらみきかせてたから、もうダメだな、って。珍しくあいつが本気出してるのみたよ。それぐらい奈々実ちゃんに惚れてるんだね。ああ、早く告白すればよかったよ」

「えっ、ちょっと大崎さん」

「冗談冗談。それぐらいかわいい妹分だってこと」

大崎さんはそういってごまかすように笑った。