ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

「あまりにもそっけない態度だったから、避けられてるか、もしくは駆け引きされてるかと思ってたよ」

「そんな恋愛マスターじゃないですって」

と、つい口にしてしまった。二階堂月彦さんの顔が頭をよぎる。

これも月彦さんの作戦だったのか、と改めて納得した。

「恋愛マスターがいたら、恋愛なんて簡単なんだろうけど、恋愛は難しいよ」

そういって桐島課長は笑うと、わたしもつられて笑った。

「実は、何度も星野くんのウチへ駆け込んでやろうと思ってたんだけどね。勇気もないし、嫌われたくなかった」

「桐島課長……」

「続きは週末、デートしてからにしよう。今こんな状況じゃあ、今度は染谷くんにこられたら困るし」

「……そうですね」

「さあ、時間だ。一緒に帰ろうか」

「はい」

総務へ戻るとすでにひとはいなくて、カバンをとり、わたしの着替えを桐島課長は待ってくれて、一緒に会社を出た。

テレビでやっていた新刊の話だったり、面白そうな話の載った雑誌だったりと大抵が本の話だった。

互いの部屋の前に着いたときだった。

「週末、どこへ行こう。星野くんならどこへ出かけたい?」

「わたしですか、あまりデートってしたことがないから」

「星野くんの行きたい場所ならどこでも行くよ」

「桐島課長も楽しめる場所、考えておきます」

「俺も考えておくよ。今日はありがとう。ようやく気持ちがつながった」

「わたしもです。週末、楽しみにしています。それではおやすみなさい」

鍵を開けて扉を開けようとしたとき、桐島課長がぐいっとわたしの腕を掴み、腕の中へとすっぽりと包まれる。

「ごめん。やっぱり離れたくない」

といっておでこにキスをすると、わたしの手をとると、一緒に桐島課長の部屋の中へと入っていった。