ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

「はっきり言うけど、最初から興味ないよ、牧田のこと。それよりさ、龍也の気持ち、わかってあげなよ」

桐島課長ははっきりとした口調で牧田先輩に思いをぶつけた。

龍也って、大崎さんのことか。

大崎さん、牧田先輩のこと、好きだったんだ。

「いいでしょ、あんなやつ」

そういって、ぷいっとそっぽを向いた。

「俺にはもう好きなひとがいるから」

といって、大きな手がわたしの右肩をつかみ、ぐいっと桐島課長へと体を寄せられる。

目の前にいる牧田先輩は目を丸くし、顔をひきつらせた。

「業務終了だからもういいよな。俺は星野くんのことが好きなんだ」

え、だってさっき桐島課長、苦しそうな顔してたじゃない。

ドギマギしているのをよそに、視線に気づいたのか顔をあわせてにっこりと微笑んでくれた。

「……そう。で、星野さんはどうなの?」

「わ、わたしは。あの……」

二人の視線がわたしに集中するのを体で感じ取りつつ、わたしはごくりとつばを飲み込んだ。

「桐島課長のことが好き、です」

とうとういっちゃった。

本当なら桐島課長と二人きりのときに告白したかったんだけど。

でも、急な告白なのに、桐島課長の歪んだ顔ではなく、満足そうににこやかに笑っている。

「わかったわよ。二人とも好きだってよくわかった。桐島が来てからずっと星野さん、桐島のこと追いかけてたし、桐島も星野さんのこと追いかけてたし。これで桐島への気持ち、冷めたからいいわ」

と、二人仲良くお幸せにと息を吐くように付け加えながら、牧田先輩は書庫を後にした。

案外あっさりとした牧田先輩の恋の幕切れとわたしの恋の告白となったけれど、それは桐島課長に対するこの場での言い訳じゃないのかな、と心配になった。