ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

昼休みが明ける前に自分の席へと戻ると、小さな一枚の紙が折りたたまれて置いてあった。

中を広げると、桐島課長の丁寧できれいな文字で、

『17時、書庫で』

と記されていた。

視線を感じると、桐島課長はパソコン画面をみているふりをしながらこちらをみていた。

あわてて紙を制服のポケットにしのばせ、午後の仕事に取り掛かった。

各課の受注発注業務に加え、マニュアルの最終の直しをして、牧田先輩に確認を仰いだ。

「これで大丈夫だと思う」

「生産機械設備課に持っていけばいいですか?」

「頼んだわ」

と、今までの直した分を牧田先輩から預かった。

さすがに桐島課長にマニュアルの件を伺わないといけないと思い、マニュアルを持ったまま、桐島課長の席へと向かった。

「無事にマニュアル直しが終わりました」

「わかった。生産機械設備課へ行くの?」

「はい」

「あとで大崎に連絡しておくから。それからでいいよね?」

「は、はい」

桐島課長は珍しく苛立っているのか、上目遣いをし声が若干怒りっぽく聞こえた。

パソコンの時計表示が17時に差し掛かっているのをみる。

仕事を終え席を立つと、書庫の鍵を持ち、総務の部屋から出て行く。

人気のない階にある資料室の鍵をあけて中に入る。

薄暗い書庫をブラインドの隙間から夕日の光が差し込んでいた。

桐島課長の用事って一体なんだろう。

しばらく書庫の中でぐるぐると歩き回っていると、

「待たせたね」

そういって桐島課長は中に入り、内側の鍵を閉めると、蛍光灯のスイッチをオフにした。