ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

二階堂さんが非常階段の入り口に立っていた。

わたしと桐島課長を見渡すと、

「あれ、ここって非常階段の出入り口だよね」

ずかずかとわたしと桐島課長の間へ足を進めた。

「何かやましいことでもしてるんですか?」

「そんなことないけど」

そういうと、桐島課長はごまかすようにお茶のペットボトルを飲んでいる。

「じゃあいいですよね、星野さん」

屈託のない笑顔を二階堂さんはわたしに見せた。

「え、ええ」

「僕も仲間にいれてもらおうかな」

すると、桐島課長はペットボトルを持って階段から立ち上がり、踊り場へ降りた。

「逃げないでくださいよ。そんなに及び腰じゃ嫌われちゃいますよ」

「何いってるんだ」

「さあ。自分がそのことよくわかってるくせに」

「先に戻る」

「二人っきりになりますけど」

桐島課長が目を細めて笑う二階堂さんとすれ違いざま、二階堂さんを睨みつけているのを驚く。

あんな鋭い目つきは初めてだった。

「星野くん、すぐに戻ってこい」

「えっ」

「ゴゴイチで資料出すっていってなかったっけ? 資料室へ資料とってきてくれないか。リストは机の上に置いておくから」

「あ、はい。わかりました」

「ふうん。役職を盾にしてるって感じですね~」

「文句でも?」

わたしと二階堂さんの間をすり抜け、桐島課長は非常階段のノブに手をかけた。

「さあ。僕は僕のやり方でやりますから」

二階堂さんは桐島課長の姿をみて、くすくすと冷めた笑いをかけていた。

桐島課長は何も言わず、非常階段を開けて中へと戻っていった。