ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

ちょうど食べ終えて帰った入り口に近い空いているテーブルに向かい合わせに座った。

二階堂さんはわたしの顔を見てごきげんな顔をみせながら定食を頬張っている。

「星野さんてさ、魅力的だと思うんだけど、どう思う?」

「どう思うって、自分のことはよくわからないから」

「そういう何気ないところが男心をくすぐっちゃうのかなーって」

「昼間から冗談はよしてよ」

二階堂さんとたわいもない話をして、さっさと食べ終えた食器をのせたお盆を持って返却口にいって帰った。

二階堂さんの無邪気さは一体何を意味しているんだろう。

階段を下り、非常階段の扉を開けると、いつものように桐島課長が階段でお茶を飲みながら空を見上げ、のんびりくつろいでいた。

「お疲れ様」

「……お疲れ様、です」

非常階段で二人っきりになることはあるけれど、緊張感が漂っているのは気のせいだろうか。

桐島課長はじっとわたしをみつめている。

仕事の顔ではなく、メガネ越しにプライベートな艶っぽい目つきをして。

「さっき頼んだ資料なんだけどさ」

「はい」

「あれって星野くん、本当は知ってたんでしょ。ある場所」

「えっ。それは、えっと」

「やっぱり。どうして教えてくれなかった?」

「それは」

さすがに牧田先輩が桐島課長のことが好きで圧力をかけているって言えないし。

「牧田先輩のほうが知ってると思って」

「それだけ?」

「……はい」

「何か隠していることでもある?」

それは、と言いかけた時、非常階段の扉が開いた。

「星野さん、いる?」

聞き覚えの低く通る声が後ろからした。