ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

どうして牧田先輩に譲らなきゃいけないんだろうと後悔したけれど、あの牧田先輩のイケイケ圧力におされる格好となってしまった。

パソコン越しに桐島課長をみるけれど、もう用は済んだみたいで自分の仕事を進めていた。

昼休み、社員食堂へと向かおうと階段をあがっていたところを低く通る声で呼び止められた。

「星野さん」

振り返れば星彦さんが右手を振ってにこやかな笑顔で立っている。

わたしが踊り場で立ち止まると星彦さんは軽い足取りで階段を駆け上がって隣に並んで階段を上り始めた。

「ちょっと、二階堂さん」

「どうしたんですか?」

「後輩の染谷に何か話しましたよね? 付き合ってるとかどうのこうのと」

「言いましたけど」

そういうとケロッとした態度で逆に清々しい。

「どうしてそんな嘘、話したんですか」

「そうでもしなきゃこうやって話ができないですからね。話のネタですよ、ネタ」

「だからって」

「嘘からはじまるおつきあいも悪くないんじゃないんですか?」

と、逆にさらっとした回答に悪意を感じさせなかった。

「おつきあいって。わたしは二階堂さんとは」

「つきあってるでしょ?」

「だから」

「お昼ご飯一緒に食べるってこと」

「……ちょ、ちょっと」

社員食堂につき、入り口にあった定食2品のメニューをみながら、二階堂さんは、さて今日は何の定食にしようかな、とのほほんとつぶやいて社員の行列の後ろに並んだ。