ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

「お昼とか会うかもしれないけど、付き合ってないから」

「そうなんですかー。お似合いと思うんだけどなあー」

「勝手に結びつけようとしないで」

「はあい」

当てが外れたのか口をすぼめ、少し悔しさがにじんでいた。

制服に着替え、染谷さんとともに総務へいく。

すでに桐島課長は席につき、資料を読んでいた。

牧田先輩もすでに着席していたけれど、視線の先はどこか桐島課長に向けているかのように思えた。

始業時間が進み、仕事にエンジンがかかった頃、

「星野くん、ちょっといいかな」

と、桐島課長がわたしを呼んだ。

席を立ち、桐島課長の席の前へ向かうと視線を感じる。

資料を読むふりをして凝視する牧田先輩だった。

さすがに仕事中なんだからしかたがないよな、と思いながら、

「桐島課長、どうなさいましたか?」

と答えると、桐島課長は、わたしに目をやると微笑んでくれた。

「この資料なんだけど、どこにあるか教えてくれないかな?」

自分で作った資料の箇所を指差している。

「……この資料だったら牧田先輩が詳しいと思います」

「そうなの?」

「……はい」

「わかった。牧田に聞いてみる」

「失礼します」

一礼して席に戻る。

桐島課長は牧田先輩に声をかけていた。

牧田先輩は得意げな顔をしながら桐島課長と顔を見合わせて話しかけている。

二人の姿をみながら、こうべを垂れた。

桐島課長の作っている資料のありかをわたしは知っていた。