ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

「楽しそうですね、牧田センパイ」

「そうかな?」

「あんなに桐島課長のこと、嫌ってたはずなのに」

牧田先輩は桐島課長の席にいって笑い飛ばしながら修正したマニュアル原稿をみせていた。

桐島課長もまんざらでもなさそうにニコニコと笑いながら牧田先輩と話をしている。

楽しそうに話し合う二人をみて、少しずつ胸のあたりがむずむずしてきた。

気を取り直して机に広げて原稿をみている染谷さんに話しかけた。

「染谷さんはもういいの? 桐島課長のこと」

「最初からどうも思ってませんよ」

そういって染谷さんは原稿から顔をあげて得意げに笑っている。

「え?」

「いけそうかな、って思ったんですけど、仮に付き合ってもカタブツには勝てそうもありませんよ。そのあと面白くなければ付き合ってる意味ないし」

「……そういうもんなの?」

やっぱり染谷さんは恋愛に対しての割り切り方がすごいと感じた。

わたしにはそんな考え、微塵もなかったから。

わたしよりも若いのに恋愛経験の高さには頭が上がらない。

「恋愛に妥協なんかいらないですから。星野センパイはその後、あのイケメンとはどうなんですか?」

「だから、ただの相談相手なんだってば」

「おっかしいなあ。そのイケメン、ずっと星野センパイのこと、ほかの女性たちがいるのもかまわずにまっすぐやさしく見つめてたし。けっこう星野センパイとの距離、近かったから雰囲気が恋人ぽかったんですけど。てっきりそのイケメンといい仲になるんじゃないかなって思ってましたけど」

二階堂さんがわたしのことを?

恋愛対象じゃないとわかってるはずなのに、そんなはずはないけど。