ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

自分の部屋について、ほっとしたのと同時に、桐島課長とキスした事実がじわじわと蘇って体が熱くなる。

急いでカーテンをひいて窓を開ける。

すでに日は高く、じりじりとした太陽の光がベランダのコンクリートを照らしてまぶしい。

風がぬるく、せっかくさわやかな風を感じたかったのに余計体が熱くなったので、窓とカーテンをしめてクーラーをつけた。

昨日の洋服のままだったので浴室へと向かった。

洗面台の鏡にうつる自身の顔、とくに唇をみた。

キスしたことは、変なことに含まれるんだろうか。

キス以上のこと、していないのに。

むしろ、その先のことがどういうふうになるのかしりたいけど、その前に『好き』という意思表示がしたかった。

シャワーを浴びてから、急いで二階堂さんへメールを出す。

すぐに電話をしても大丈夫? というメール内容だったので、OKと返事を打つとすぐにスマホから着信音が流れた。

「二階堂ですけど。唐突にキス、されたんですか?」

「はい」

わたしの答えにキスか、と念を押すように二階堂さんはつぶやいていた。

「まだ告白できてなくて」

「なるほど。あともう一押しですね」

「そうでしょうか」

「というと?」

「すごく困った顔をしていたんです」

桐島課長の申し訳ない顔を思い出す。

告白したときに顔を歪ませる、あの不愉快な感じに似ていた。

「しちゃいけない、踏み込んでしまったことをなかったことにしているんです。もしかして遊ばれた、とか」

「それはないと思いますよ。嫌いならキスなんてしないですから」

「……そうですかね」

「まずは相手の出方をみてから判断しましょう。話はそれからです。普段通りに接してみてください」

「わかりました」

電話を切り、クーラーの冷たい風を浴びながら、しばらくぼんやり天井を眺めていた。

どういう顔をして桐島課長と仕事すればいいんだろう。