ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

目をさめると同じ間取りなのに、どこか違う。

気がつけば桐島課長のベッドの上に寝かされていて、桐島課長はそばにあった椅子に腰掛け、飲みかけのビールの缶が二つ置かれたままのテーブルに頬杖をついていた。

わたしが体を起こすのをみて桐島課長はすかさず立ち上がった。

「目、覚めたんだね」

「あ、あの、わたし……」

桐島課長はどう言葉をかけていいかわからず口ごもってしまった。

それをみた桐島課長は血相を変えた。

「星野くん、俺、変なことしなかったか?」

「え、あの……」

変なこと、といえばキスだろうけれど、それ以上のことを変なことというんだろうか。

「何もなかった、ですよ」

と返すと、桐島課長はほっとしたのか、ふうと強めにため息をついて床に正座をした。

「そうか。よかった。いけなかったな、酒飲むの」

桐島課長は弱々しくつぶやき、力なくうなだれていた。

「どうしてですか?」

「覚えてないんだ。星野くんと食事して、それからのこと」

桐島課長は顔をあげてわたしの顔をみている。

反省しているみたいで、とても沈んだ目をしていた。

「それから、ですか」

「ごめんな。俺の部屋に閉じ込めちゃったみたいで」

「い、いえ、いいんです」

「本当に何もなかったよな?」

「は、はい。すみません、課長のベッド占領してしまって」

ベッドから降りて床に転がっていたカバンを手に取り、桐島課長の部屋を飛び出した。

覚えてないなんて。そんな。

あんな情熱的なキスしてくれていたのに。