ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

おいしいごはんを囲みながらステンドグラスの淡い光を互いに浴び、和やかに桐島課長と楽しく過ごしている。

「そういえば、どうして非常階段へ昼にくることがあったの?」

桐島課長はハンバーグを食べ終えてグラスの底に残ったビールをおいしそうに飲んだあと、小首を傾げながらわたしに聞いた。

「休みの時間くらいはひとりのほうがいいのかなって思って。いろいろ探したんですよ。屋上とか、休憩室とか、工場の裏とか」

「ひとりか。じゃあ今は違うね」

「……桐島課長」

「最初はひとりの時間を邪魔したかと思ってたけど」

そんなことはない。

桐島課長が非常階段にくるようになってわたしの気持ちが一気に高まったのだから。

「邪魔だなんて。もともとわたしが独占してたようなもので」

「景色もいいし、会社の時間の中で一番好きなのかもしれない」

桐島課長はまっすぐわたしを見つめて、そう言い切った。

きれいにたいらげたお皿を店員が片付けると、甘いものは好きかと桐島課長が言うので好きと答えると、シャーベットを二つ注文した。

一番好きだなんて。

「確かにあの時間はわたしも一番好きです」

精一杯の気持ちを言葉にできた。

桐島課長に届いてくれだだろうか。

少しでもわたしが桐島課長のことを好きだということを。

しばらくして小さなグラスに入ったレモンのシャーベットが届き、口にする。

甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。

「こうやって二人っきりでごはんを食べたのはいつぐらいだろう」

「え、桐島課長しばらくはひとりで?」

「そうだけど?」

「そうみえなかったから」

「そうみえないか。そうみえなくしてるだけなのかもしれないけど」

そうやって桐島課長はまたわたしをまっすぐみつめる。

わたしはその視線をはぐらかそうとして、溶けかけたレモンシャーベットをみつめた。