ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

時刻も夕刻をまわろうとしているのか、窓の外をみると駅方面へと足を進めるひとの波が増えてきて、お店の中は少しずつ客の姿が減っている気がした。

桐島課長はしきりに左手に巻かれた腕時計をチェックしている。

そろそろ帰らないといけないかな、と、ごちそうさまでした、と言おうとしていたときだった。

「あのさ。これから時間あるかな」

桐島課長は少しだけ顔を赤らめている。

「え、ええ」

「よかったら、ご飯食べない?」

「いいんですか? わたしで」

「もちろん。俺のこと、いやじゃなければ」

総合ターミナル駅の上にあるビルの最上階にあるレストラン階へと足を進める。

数多く連なるお店の中でいつもいっているお店へと案内した。

地域限定の洋食チェーン店なのだが、お手軽に料理がいただけるので、よく明日菜と利用しているので勝手はわかっていた。

「ここでいいですか? 好き嫌いはありますか?」

「大丈夫。星野くんがいいならいいよ」

白いエプロン姿に上下黒のTシャツにズボンのかっぷくのいい男性店員が入り口にやってきて、入って左奥の窓際の席を案内してくれた。

食事処が多く、ひしめきあうレストラン階ということもあり、テーブルが8つと少なめだけれど、隣との距離はけっこう離してくれている。

テーブル席は夕飯の時間帯に近づいてきたのですでに埋まっていて、ちょうどわたしたちが入って満席になった。

テーブルごとに天井からつるされた小さなステンドグラスのランプがテーブルをやさしく照らしていた。

白いテーブルには老舗洋食チェーン店のテーマカラーである赤いチェックのテーブルクロスがかかっている。

桐島課長は窓側に座り、わたしは向かい合わせに座った。

眺めのいいこの席からは夜空とともに近隣の商業ビルや大通りを行き交う車の列、わたしたちの乗る私鉄の駅のプラットホームが蛍光灯の光が白く照らされているのがみえた。