「ねぇ、君。………すごいね。そんな殺気出せるなんて……(ボソッ)」
最後の方は小声で話す男の子。
瑠香はそんな言葉にも同情せず男の子の目を見て誰にでも聞こえる声で呟いた。
「嘘くさい、その笑顔。」
その時、教室の空気が変わった。冷たく、静まり返った。
クリーム色の髪をした男の子は嘘くさい笑顔からビックリした顔に変わるが、すぐにまた笑顔になった。
「へへ。ねぇ。僕たちのこと知っててその口なの?」
「……。碧架のみなさん、かしら?そこの女の子たちが噂をしていたから。」
「うん。僕たちは碧架。全国でも最も強い暴走族だよ?」
「うん。だから?」
クリーム色の髪で可愛らしい顔をした、嘘の笑顔を振りまく男の子はにんまりと笑い瑠香に言った。
「あんまり調子こいてると女の子でも容赦しないよ?」
教室にいる人たちはゾクッと肩を震わせた。
これが碧架の力……。と逆らっては自分の立場がなくなってしまうこと、碧架がこの学校の支配者であることを証明した瞬間だった。
…………瑠香と風音以外には。
「るーちゃんより怖くないね。」
とんでもない言葉を静まり返った教室に投下した風音。その言葉に瑠香は笑ってしまった。同時にクリーム色の男の子は出していた殺気が少し揺らいだ。
「そこまでにしろ。聖(セイ)」
前に座った久我と呼ばれる男がクリーム色の男の子に言った。
そしてくるりと振り向き瑠香の顔を見た。

