~エピローグ~
―月―日

りっちゃんが転校の準備のため学校を休んで数日が経過した。

その間は私からりっちゃんへ連絡は一回もしていない。

杏も連絡はとってないらしい。

また話とかしちゃうと行かないでと行ってしまいそうで怖いからと杏は言った。

私も行かないでほしいと言ってしまいそうだから、りっちゃんが転校するまでは連絡はしないつもりだ。

りっちゃんはもう時期京都へ転校してしまう。

りっちゃんは京都は近いと言った。

だけど私にとってはやっぱり遠いと思う。

一度も行ったことがない場所でもあるから余計に遠く感じる。

本当はりっちゃんに行ってほしくないけど杏が、りっちゃんの彼女さんが転校を認めたんだから私も認めなくてはいけない。

杏は泣いていたんだ。

本当は杏も辛いんだ。

あの放課後の教室では笑っていたとりっちゃんは言っていた。

そして転校することに対し何も言わなかったとりっちゃんは言っていた。

あの時の誠意を壊してはいけない。

だから私も認めよう、りっちゃんが転校することを。

もう時期学校での一日が始まる。

始まりを告げる朝のチャイムが鳴る数分前・・・、

だっだっだっだ、

「なんか廊下の方がうるさくねぇ?」

クラスの数名が廊下を見る。

それを見るクラスの人たちがざわざわとしだした。

何だろう?

私も気になったけど今席を離れると先生が来たときに怒られてしまうのでそれは出来ない。

そう思っていたとき先生の声が聞こえた。

「こらぁぁぁぁぁぁ羽藤ぉぉぉぉ、廊下は走るなと」

りっちゃん?

思わず杏の席を見たら、目があった。

そして、ガラガラと教室のドアが開く。

「ドイツの科学力は世界一ぃぃぃぃぃぃ」

と奇声を発しりっちゃんが登場。

教室中のみんなが状況を理解できずかなりの勢いで引いている。

「勝ったどぉぉぉぉぉ!!!」

懲りずに第2波。

状況は未だに理解できない人、半数。

だけど勢いに負けて教室中がブーイングと歓喜の嵐が沸き起こる。

それはいつもの日常。

でも私はこの状況を理解出来なかった。

もちろん杏もだ。

何で?りっちゃんはもう転校するんだからもう学校には来ないんじゃ・・・

「俺は転校なんてしない、こっちに残る」

はぁ?

何言ってるの?今さらそんなわがまま出来るわけないじゃん。

「みんなの合意のうえだ。親父の許可はとった。母さんについても親父の説得があって俺のわがままを許してくれた。だから俺はここに残ることにした」

杏もぽかーんとしている。

そりゃそうだよ、あんなこと言っといて実は転校しませんなんて。

りっちゃんは杏の席へ歩いて行きこう言った。


「・・まぁ、そういうわけだから・・・その、改めて・・これからもよろしくな」


教室のみんなが騒ぐ。

「あの柳也がよろしくって」

「あれ、告白だよな?うゎぁ何があった?」

「明日は雨だな」

そんなざわざわを無視して杏は一言、

「・・馬鹿」

泣きそうな顔を伏せながら言っていた。


その後りっちゃんは私のところへ来て、

「まぁ、そんなわけだ」

どんなわけだよ!ってつっこみたかったけど、私、今泣いちゃいそうでそんなことも言えない状況だった何も言えなかった。

そしてりっちゃんからもう一言。

「親父が会いたがっていた。今度、俺や杏と一緒に親父に会いに行ってやれないか?」

「・・・うん」

泣きながらそう答えた。

とっても優しかったりっちゃんおじさんにまた会える。

みんなと一緒に。

みんなで一緒に。


Fin