「あ、いた!」
公園の遊具の中で雨宿りする背中を見つける。
いつも雨が降っているとここにくる。
あの背中に話しかけたくて今日もわたしは公園の屋根付きのベンチに座ってその背中を眺めていた。
「いつもなんであそこにいるんだろ」
雨宿りではないことは、傘を持っているのを見つけたことがあるから傘がないわけじゃないと思うんだけど。
あの人にしか見えないものがあるのかと考えるとワクワクする。
今日こそ話しかけよう。
そう決心してベンチから立ち上がり
その人に駆け寄る。
「ね、え」
一瞬背中がびくっとなった気がするが
反応がない。
わたしはまた一歩近づき声をかける。
「そこに、なにかあるの?」
「、、、別になにもない。」
後ろを振り返ることなく背中を向けたまま応える彼を不思議に思いながら
再度尋ねる。
「傘、持ってないの?」
「もってる、けど。」
「けど?」
「もういいでしょ。雨なんだし
帰りなよ。」
煩わしいように手をパタパタと降られる。
「わたし、晴っていうんだけど
あなたの名前教えてくれない?」
「なんで、俺が、、、」
嫌々こちらを見て彼は面倒くさそうに
小さく呟いた。
「...雨。」
「え?」
「だから、雨。」
「ええ!すごい!いい名前だね!」
「は?馬鹿にしてるの?」