「本当に!?嬉しい!ありがとう!」
僕の返事が相当嬉しかったのか、
彼女は興奮気味に僕の手を取り、そう言った。
「ぇ、うん・・・」
突然触れられた手に動揺してしまい、
僕は恥ずかしくなって俯いた。
「じゃあ、詳しいことは後で!またね!」
僕が顔を上げた時には既に彼女は、
いつの間にか手を放してその場を離れていった。
小さな背中をぼうっと見つめていると、
慎次の声が迷わず僕の耳に届く。
「おいおいひかる~まさかのまさかだけど~」
はぁ・・・。
さすがにこれは、慎次にバレてしまったな。
確実にその目は僕の心の中を見透かしている。
「乃李の事好きなの?!」
悪い予感が虚しくも的中し、
慎次のバカでかい声が教室中に響き渡った。
おかげで、周りの視線が痛いくらいに背中に突き刺さる。
「お前さ、ちょっとは僕の気持ち考えてから・・・」
「マジでか!?やっぱりなぁ~お前素直すぎて嘘つけないタイプだろ!」
うっ・・・・確かに僕はいつも嘘をついてバレずにやり過ごしたことはない。
けど、
今回の件に関しては絶対に隠していたかったのに。
「はぁ・・・・。慎次にはバレてほしくなかった。」
「え!?お前そりゃねーぞ!俺、協力すんのに!」
溜息交じりに本音をこぼすと、
慎次は笑いながら豪快に僕の背中をバシバシ叩いてきた。
「い、いたいって・・・。」
「俺一応、乃李の幼馴染だぜ?こんなにいいキューピッド頼んなくて誰頼んだよ!?」
そんなに自信持って言わなくても・・・
そもそも、僕は頼るとか頼らないとか、そういうの
よくわからないし、しかもキューピットってなんだよそれ・・・
恋愛用語にうとい僕にそんなこと言われても、
よし、頼んだなんて期待に託せるわけない。
