「おお、乃李。どした?」
慎次を呼ぶ声が彼女によるものだと分かった途端、
無意識に高鳴る胸。
「部活!なに入るかもう決めた?」
「当たり前だろ!俺には野球しかないから!」
迷いがないその笑顔は、
彼女の瞳を一層輝かせた。
「私も!バレーしかないから!」
そう言って張り切った笑顔を全開に見せた
彼女に思わずドキッとしてしまった。
もう部活とか決めるのか。
そういえば、考えてなかったな。
僕は、中学の時テニスをしていたけど
大会でもさほど褒められるような成果は残していない。
「ねぇ!古谷くんはもう決めたの?」
「えっ・・・ゴホ」
急に彼女が僕に話しを振ってきたものだから、
飲み込もうとした卵焼きが詰まってむせてしまった。
そんな僕を見て慎次はクスクスと笑ってくる。
ジロジロとまとわりつく視線が痛い。
まったく、なんだって僕の体は
素直に反応してしまうんだろうと
またしても自分の短所を
見つけてしまった気がした。
