聞けば、いつものことらしい。



 デンジャラスすぎる、と思いながらパンケーキを口に放り込む。おいしい。

 私がサラダに手を伸ばしたとき、声。今度は金属音。
 ぎょっとしていると、足音。走っている…?

 それは豪快に扉を開けた。
 


「あ」

「え」



 さらさらな銀髪は長く、青い目が私とかち合う。

 身にまとっているのは、黒に近い紫がかったやたらボタンと刺繍の凝った外套と、セットになっているらしいズボン。腰にはベルトがされ剣が下がる。が、何故か鞘だけ。
 うわぁぁ、というくらい美形である。
 沈黙。
 


「お、はようございます」

「あ、ああおはぐっ」

「お前というやつはっ!朝っぱらから人の邸を破壊しやがって」

「俺とフェルゼンの仲だろ」

「どんな仲だ―――カオル、起きてたのか」

「ええ。あの」

「あ、この人が――――」

「見るな触るな喋るな」

「どくせ」



 蹴りが入った。

 美形男が呻く。扉の奥へと閉め出し、息を吐く。扉からは何やら声がしているのだが、フェルゼンは扉の前で立ちはだかっている。

 朝から騒がしいものだと呆然とした私に「うるさかっただろう」とフェルゼンが疲れたような顔をしていた。



「朝っぱらから煩い奴め。だから面倒なんだ」

「さっきの人は?」

「あいつ――――!!」

「ふははは、俺をどうこうするなど甘いぞフェルゼン!」



 扉が破られた。ばりばりという派手な音と、長い足。
 よく映画で扉を蹴破るシーンがあるが、もっと豪快だった。フェルゼンが前方に回避。

 私はというと、うっかりフォークを持ったまま席を立った。破壊された扉に長い足がかかり、高らかにいう言葉にぽかんと見てしまう。まるで漫画の悪役。


 えっと、どうしたらいのか。「お前というやつはっ!」フェルゼンが剣を抜いた。


 ここでやるのか!