風当たりが強い、と思ったら意外にそうでもない。それは上手いこと竜側が、背中に乗せる相手にあたらないようにしているらしい。「この飛ぶのにも竜の力が働いている」とか魔術がどうとかいっていた。
私の耳は言葉を聞いてはいたが、やはり高さに恐怖感があるためそちらに意識がいく。
地面が、遠い。
「フェルゼンさん!そろそろ、降りません」
「慣れは必要だぞ?」
「ちょ、うわぁぁぁぁ」
翼をはためかせたアッシュが張り切って加速。
私の悲鳴がたなびくように後ろへと流れた。
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