さよならを告げるまで





 力があると判断され、かつ言葉や文字が理解できるのはその力がうまく作用しているかららしい。
 言葉にをしては今まで普通に話していたし、と力があるという実感はさっぱりだが。

 言葉というと残るのは元貴族のニーナだ。が、日常生活に支障がないくらい喋ることが出来るので問題ない。
 貴族というのは他国の言葉を勉強するのが普通らしい。貴族ってすごいと感心してしまう。



「異世界人って、結構頻繁にいるものなんですか」

「珍しいのは確かだか、居ないわけではない。どこから来たのかもばらばらのようだな―――だが、知識を欲しがる者も居ないわけではない」

「本人の世界の技術を、って?」

「ああ。人などどの世界でも同じようなことだろうがな。もっともここに来る異世界人はごく普通の人間が殆どだ。多少魔術を使える、などはあるがな」

「フェルゼンは、その」

「安心しろ。カオルをどうこうするなど全く考えていない」



 今すぐ何かしろといわれてもどうもできないかのだが。苦笑を返したフェルゼンに、小さく笑う。




 馬車の旅は長い。


 慣れると寝顔云々いっていたのをすっかり忘れて寝てしまうようになり、泊まった宿で料理とお酒に驚いたり(いかにも外国料理と、強そうなお酒)、街の景色に目を奪われたりした。

 ヨーロッパのような街並み。

 あまりに見つめすぎて「カオルの国はこんな感じではないのか」などと聞かれてしまった。日本はこんなヨーロッパのような街並みではない。どういったらいいかわからないけど、街並みはこちらのほうが素敵だと思う。
 まあ、古民家とかは私も好きだったが、一般の建物で考えるとヨーロッパのほうが美しいのではないだろうか。