城だって、あんなに立派だったのかの去り際に見たのだ。街に住む、一般人の姿も。
そこには生活があった。生きていた。ここはゲームでもなんでもない。
「しばらく森ばかりだぞ」
「そうですけど。色々考え事というか」
「不安か」
「それはまあ…」
竜の国。言葉が違うこと。文化。
新しい生活というのは精神的にくるものがある。私だって大人だが、不安と恐怖はこの世界に来てからずっと抱えたままで、結構しんどい。
目にうつる景色はいわゆる外国のもの。
日本でみる建物とは違うから、まるで外国に来たような気分になる。もっともここは外国というか、異世界なのだが。
「今からそうだとしんどくなるぞ。眠いときには黙って寝ておけ―――なんなら肩をかすか?」
「寝顔見られるのは嫌です」
「……悪戯してやろうかと思ったのに」
「さらに寝れないじゃないですか」
―――フェルゼンはすでに母国語を話している。
で、何故私は言葉がわかるのかといったら、さあとしかいいようがない。
カシェルと会ってから「あー…うん。力はあるよ。けど大きく使えるようになるまでちょっと時間かかるかも」ということらしい。
引っ張り出すことも出来るらしいが、カシェルはスフォルに着いてからのほうがいいという判断だった。

