さよならを告げるまで




 フェルゼンの家は武人が多い。彼の父親も武人であり、真面目である。フェルゼンは妙な遊び(つまり、あれだ。夜の遊びなど)はしないし、女性関係もまた普通である。

 過去の恋人も知っているが、ここまで彼を動かすのは彼女が始めてではないだろうか?
 なんにせよ、彼の頼みは叶えるつもりだ。
 


「さてさて、どうやろうかねぇ」

「あの、もしかして策はないのですか」

「まさか。そこまで無謀だと思われてるの僕」

「思われない行動をして下さい」

「手厳しいねぇ」



 ちょうどそのとき、案内役が呼びにきた。トゥルガイが不安顔からさっと切り換えるのと同時に、カシェルもまた異国の貴族という顔をする。先程のだらけ具合は綺麗に無くなっていた。

 案内役の挨拶を聞きながら、会場へと足を踏み入れて、カシェルはさっと目を通していく。どこの誰だという紹介に注目が集まるそれに、柔らかな笑みを浮かべる。
 自分で言うのもあれだが、悪い顔はしていないはずだ。


 ここの貴族と、招待された者。女らの談笑。香水。思惑が共に踊る。


 ただ仲良しのためにここにいるのではない。政治の話も飛び交っていることであろう。女性らならば結婚相手探し、だろうか。



 皆が揃うと、王族が挨拶をする。そしてそこでフェルゼンがいっていた異世界人を見た。


 あれがミオと、ショウか。


 顔立ちがあまり見ないもので、ここでは目立つ。有名な貴族らが挨拶していくのが見えた。トゥルガイが「あれが例の」と呟く。