高校生の彼らより歳上で、力のない異世界人の私へ対する目は、役立たずという冷たいものへと変わる。

 翔と美桜は立派な戦士であるのに、あの女はどうだ。使えぬ。何故喚ばれたのか。失敗。いらない。そんなの私が聞きたかった。どうして私なのか。私は駄目なのか。力がないとはいえ、儀式によってきた異世界人をやたらむやみに扱うことがないのは幸いだった。下手をしたら投げ出されやしないかと思ったのだが、なんとか生活は出来ることにほっとする。


 一番怖いのは、未知であるここから外に出されてしまうことだ。知識もないし戦えない私が城から出されれば、死ぬ。

 美桜は同じ日本人だからなのか、たまに私に会いに来た。些細な話。私はそれに救われていた。異性より同性のほうが話しやすいのもあるのかもしれないが、作り笑いで必死だった。本当はどういうことなのと叫びたかった。教えていいたかった。けれど、意味がない。それに年下の美桜にそんな無様な思いを晒したくもなかったのだ。

 たびたび美桜と会った私は、美桜が何故私に会いに来るのかと思った。美桜は日本では高校生。私よりも年下で、ああそうかと話すにつれて何となく、思っていることが理解できた。
 彼女は、寂しいからとかいうのではない。多少なりともあるかもしれないが、そこには悪意のようなものがあった。私で何かを確認しているらしいことをわかってしまった。



 そしてある日、聞いたのだ。


 美桜が「あの人、やっぱりオマケなのかな」などといっていることを。翔が「俺らが主人公で、あれが引き立て役かもな」といっているのを。
 オマケ。邪魔なオマケだ。だって私はなにもできない。ただ、何かないかとあちこちさ迷ったり、図書室で書物を読んだりする日々。

 悔しい。

 乙女ゲームとかいってたり、俺の時代とか言ってる彼女らもまた見下しているのだ。美桜なんかそ知らぬ顔で会いに来ているのだから、ああそうですかという感じだった。私を見て自分には力があってよかったと感じ、私になにか変化がないかも確かめている。

 馬鹿みたい。ちょっと救われていた私の心は凍っていった。