キリアール王国で行う儀式は、異界から人を喚ぶというものである。今まで何度かやって、異世界から人が喚ばれてきている。その異世界人は力を持ち、キリアールのために使うというのが今まで喚ばれた異世界人の存在だ。
 私にはその力なんてなかったため、今のように離宮にいることになっている。


 今まで姿を見せた異世界人はみな力があったとされているため、異世界人であるのに力がないという私は異例であったのだ。召喚者はかなり困ったことであろうし、扱いに困ったからなんとかするまででもと離宮に閉じ込めた。

 私が力がないというそれは、"儀式で喚ばれた異世界人には力がある"という事実を変えてしまうことになる。だからこそ私を離宮に閉じ込めてどうするか考えていた。

 そして、これが問題なのだが――――邪魔と思われたら消されるかもという話が出ているという。




 ぎょっとした。
 消されるって、殺されるってこと?まさかの?驚いた。だが、私も多少なりとも考えていたからだ。

 翔と美桜とは違って、オマケな私はもしかしたらと。



「まさかニーナも殺されるだなんて言いませんよね」

「……いや、それは聞いていない。だがそういった話が出ているのは事実だ」




 嫌な予感があたった、とでもいおうか。最悪というか、と頭が真っ白になる。

 私が邪魔だからとして、ここから追い出されたとしてもあの二人は助けてはくれないだろう。そんな気がする。それともあれだろうか。乙女ゲームの主人公だと思っている美桜なら、お願い!助けてあげて!とか言うかもしれない。

 私のせいでニーナもだっただったなら…。