さよならを告げるまで





 だから、逆ハーレムは夢だと思う。夢のなかだけなら、許されると。



「翔がいったの。ここでは俺らが主人公だって。なら私はヒロインってことでしょう。力があるし―――貴女とは違う」



 美桜は、「そうでしょ」という。
 私は呆然としながら「それが貴女の本性というわけ」といった。毒を吐かなくても紅茶でも投げつけてやりたくなった。冷たい扱いをうける私を庇う、力のある優しい異世界人という図を今まで表に出していたのだろう。

 私を悪役にでもしたいのだろうか。私を使って引き立て役にさせたい、とか?



「貴女が言わなくても、私がやっぱりどうにかする。その方が早そうだし」

「そう。だったら何をしにきたの」

「馬鹿にしたかったから。だって、ウケるんだもん。あーだのこーだの言われても平気なフリをしてるオバサンが。超哀れでかわいそーで、面白くてさ。ふふふ。オマケって悲惨ね」



 ―――わかってた。
 私は手のひらを握りしめた。

 「貴女を見てるとさ、私に力があってよかったぁって安心した」といったそれに、温くなった紅茶が目にはいった。
 投げつけるのは容易い。暴言を吐くのも容易い。言ってやれ。言え。言ってしまえ。

 美桜の前にあるカップが、割れた。