さよならを告げるまで





「選ばれた俺らと何が違うのかって」



 テーブルにある菓子を手に、一口かじる。まるで悪役だなと思った。控えているニーナは眉を潜めている。美桜は黙っていた。私も黙っていた。




「だとしてもさ、諦めろよ。喚ばれたのは
三人だったけど、選ばれたのは俺と美桜。あんたは残念無念。同じ日本人のよしみでまあ、生きていけるようにはしてやるしさ。心配ねぇって」

「そんなっ―――薫さん、あの、私たち頑張るから。その」

「俺には力がある。向こうじゃ全然だったけど、こっちでは力があるしさ。お前だってそうだろ、美桜。ほぼやりたい放題だ。女の子は寄ってくるし、魔物はぶったおせるし、夢みてーじゃん」

「変なこと言わないでよっ」

「その猫かぶり、ばれてっからな?」



 ――――凄い言い方。
 自分に酔っているらしい翔と、必死に隠している美桜を更に嫌いになりそうだった。というか、嫌いだ。


 何をしに来たというより、見に来たのだろう。ああそういえばもう一人いたけれどどうしたんだろうと。様子を見に来たのだ。どう過ごしているのか。

 地球ではできなかったことがここではできる。妄想の実現化の延長気分なのだろうか。よくあるアニメなんかの設定。だがわかっているの?と言いたくなる。慎重にしなければ、身を滅ぼすことになりかねないことを。

 翔は、この世界をゲームかなにかと思っているのか。リセットなんてないし、死んだらそこで終わりなのに?
 イライラしてきた。