▼1 異世界と異世界人




 何が起こったのか、なんてわからない。ただ突然、「成功した!」やら「これが…」とか言われても意味がわからず呆然とするしかない。見慣れない光景は建物の中だろうが、時代がかっているというか、日本ではないだろうと漠然と思った。ああだのこうだの言っている人間の格好も私が今までコスプレとかアニメとかいう中でしか見かけないような姿だった。

 なにこれ。
 なにこれ。冗談?

 夢なら、と強く握った拳の感覚とかあるものだろうか?ひやりとした床とか、「なにこれ」という声のとおり、私の他にも人がいて、顔や格好まではっきりわかるものだろうか?

 ここは何処かという問いばかりが頭に過る。驚くと言葉が出ないというのはこういうことをいうのだろう。
 私と同じ日本人らしい女の子と、男の子が互いに顔を見合わせた。それぞれ知らない人だが、顔立ちからして同じ人種であることはわかった。日本人、だとは思った。制服は中学生か、高校生か。いや、どうでもいい。床に座りこんだまま、どうなったのかと呆然とした私たちに賑やかだった人間が口を開く。


 ―――異世界から人を喚ぶ。


 何年かに一度、異世界から人を喚ぶ儀式をするのだという。聞けば昔、この世界以外からやってきたといわれる人物がこの国に貢献し、英雄となったのだという。儀式。だがこの数十年は儀式をやったとしても人は姿を見せることはなかったらしい。よって人が姿を現したということは喜ばしいことであると。

 が、今回何故成功したのか。説明出来ないらしいが、ただ、運命だといった。魔物を倒すための、戦士たち。国を守るもの。
 そんなこと話されたところで、はいそうですかと納得出来るか。


 意味がわからなかった。
 ただの学生と私に何が出来ると?