地球でのことや、親のこととか様々なことを考えて、孤独を感じた。どうしてるのか。帰れないなら、生きていくしかないことや、生きていけるだけのものが私にあるのかとか。いつまでもフェルゼンに寄りかかっていいのかとか。
カシェルは、魔術師だから僕の弟子として雇えるといっていた。
力がなかったらどうなっていただろう。のたれ死に?処刑?美桜と翔によってなにかしらされるだろう。
体を起こして、お粥みたいなスープを食べながら不覚にもぼろぼろと泣いてしまった。ウジェニー優しく涙を拭う。
いい歳をした大人が泣くとは。
「あらあら、どうしたんです」
説明しようとしたが、その前にウジェニーの抱擁をうけた。ウジェニーは私の親に近い感じで、ほっとした。あたたかくて、柔らかくて。
ごめんなさい、と口パクでいえば、「いいんですよ。たまには」と微笑んだ。病気をすると弱る。…私はいつだって弱いけれど。
薬を飲んで、まだ眠る。
魔術を使って和らげるとも出来るが、やはり自然の治癒力のほうが負担が少ないという。
診察を受けた次の日。カシェルが見舞いに来た。
ちょうどくる予定の日だったが、あいにく私は風邪をひいたためと連絡をいれて貰ったはずななのだが、見舞いにきたといっていた。
カシェルが熱を和らげてくれつつ「初風邪だね」などと笑う顔を見る。うつってしまったらと思うと気が気ではない。
もっとも本人は全く気にしてない。一応女で寝巻きの私の部屋にいても、だ。
「そういや昔、こういう時期にフェルゼンが風邪ひいて寝込んだことがあったよ。ちょうど僕がフェルゼンに出会ってちょっとしたあたりだから…ずいぶん昔だけど」
窓からは雪がちらついているのが見える。この部屋がなんだか澄んだ感じがするのは、カシェルが何やらやったからだと思う。

