フェルゼンに断ってもよかった、言われ、ああやはりその方が良かっただろうなと私も思う。
私が行くなら、その護衛のフェルゼンだって行かなくてはならなくなる。謝っても意味がないとわかっていても、私は謝るしかなかった。
次は、行かない。
私は戦えないお荷物でしかない。帰るまでせめて、邪魔にならないようにしよう。
―――魔物は化物だった。
地球にいる動物を、何種類も混ぜているような姿。様々な種類がいるらしいのは、書物で見た。載せられた絵は、やはり絵でしかない。目の前で見る魔物は生々しい。それは生きているから。
魔物は人を襲うし、喰らうという。
はじめて見たとき、暫く目に焼き付いて離れなかった。家畜が屠殺される光景にも目を閉じたくなるのに、と。
そんな化物を目の前に、美桜も翔も戦う。剣をふるい、矢が飛ぶ。
ファンタジー映画は好きな方だが、リアルだからか美しさはない。映画は脚色とか見た目のことがあるからだろうけれど、それでも日本人の、しかもただの高校生が戦うなんて。
魔物は倒せば砂のように消えていく。冗談みたいな光景だ。白っぽく変色し、やがてさらさらと砂のように消える。あれはどういうことなのだろう?
何度か見たが、怖い。何故あんなものと戦えるのか。美桜も、翔も。平和ではあった日本に生きてきたのに、
どうして。
やはり何かあるの?力のせい?