フェルゼンが買ってくるお菓子はちなみに、カシェルやイーサンがやってくると彼らもまた食べるのだ。
 高級感あふれるお菓子は味も抜群で「カオル、顔がやばい」といわれるほどだった。顔がやばいって…。


 お茶のいい香りを楽しむ中、堅苦しい格好からラフになったフェルゼンがやってくる。



「あの、いつも思うんですけど」

「うん?」



 お菓子を食べながら、お店のことを聞いてみることにする。



「こういうお菓子、フェルゼンさんがお店で買ってるんですか」

「そうだが。どうかしたか?」

「いや、その…お菓子って、女性が好きということのほうが多いから、お店入りにくくないのかなぁと」



 人気のお菓子屋、ケーキ屋、カフェなんかは女性が多いイメージがあった。男性が入りにくい、そんなイメージ。

 こんなにおいしいお菓子なら女性らが多いのではないかと思ったのだ。

 フェルゼンはしかも騎士団服である。そしてやや強面。大丈夫なのだろうか、などと思ってしまうのである。
 フェルゼンが沈黙。



「いや、まあ、平気だ」



 何故しどろもどろとなるのかは謎だが、ガルンデラウーナというお店のお菓子は食べすぎが心配になるほどである。
 


「散歩するのはいいが、暇だろう。この辺りは何もないから」

「確かに何もないですけど、暇じゃありませんよ?」

「アッシュに乗るか」

「………」

「なんだ、楽しみか?」

「いや、あの、ほら!食べたばかりだし」

「そうだな」

「あの、フェルゼンさん?」

「俺は明日休みだ」

「よかったですねー、私は」

「よし、乗るぞ」



 この格好で、と文句を言ったのだが「乗るのにどんな格好でも」などとフェルゼンはいう。いや、私スカート!

 嬉々としたフェルゼンに引きずられるように外に出ていく私が見たのは、にこやかなウジェニーである。

 ……―――――。