あの二人のオマケだったとして、不要だからと勝手に殺される可能性が出てきて。
勝手に喚んだのはそっちだろうに。そう思っても、向こうからしたら勝手にそっちが巻き込まれたんだろ、などといってくるだろうか。
あのままいたら殺されるか、城から追い出されるか…どうなっていたかわからないものの、私はキリアールを脱出した。
オマケだとしても、生きていかなくてはならない。
儀式で喚ばれた異世界人ではなく、ただの異世界人として。
ニーナと別れて、外に出ることにする。日除けにと貰った帽子をかぶって、青々とした空の下自由に歩く。今まで出来なかったことを探すように。
誰かのお世話になっているという事実は、息苦しさを覚えさせる。フェルゼンも、ウジェニーらも優しくて素敵な人たちである。けれどこれでいいのかと思う。貰ってばかりだと心苦しい。そういったら、フェルゼンは「なら、たまに魔術を使って手伝ってくれればいい」と。
なのでたまにウジェニーらの手伝いをしているのだが、それでも洋服や装飾品をもらっているだけのお返しが出来ているのかと思ってしまう。
貰った分を返せているのか。
少しずつするしかない。
今日は少しおめかししている。髪の毛を綺麗にまとめて、ワンピース(というより、かなり控えめなドレス)に、編み上げのブーツ。鞄には本とメモ用紙、敷物。
フェルゼンの邸の敷地内をうろうろするのが日課となっている私の荷物だ。