「キリアールに弟子がいるんですか」
「そ。期間限定で今キリアールにいるんだよ。弟子といえば、カオルも入ってるけど無茶ぶりはしないから安心して」
そう。
万が一(カシェルいわく、多分ないよね、フェルゼンかいるし)、憲兵とかに捕まった時、私はフェルゼンとカシェル、せそれからイーサンの名前を出すことになっているのだ。保護者と師匠、ということらしい。
私の肩書きは一応、魔術師である。
師匠はカシェルと「魔術師が武術を愛して何が悪い!」などと言っているイーサンとなっている。よって私は凄い人二人を師匠としているのだ。そういうと「そうさ!だから大いに自慢していいよ」と。
「色々と落ち着いたようでよかったよ」
「え…?」
「キリアールでもそうだったけど、スフォルに来ても新しい国だし、緊張がっちがちになっちゃうだろうしなぁって思ってたんだよ。文化だって違うしね。言葉はまあ、力があるからなんとかなるけど、精神的なものは難しいだろう?だからまずはゆっくりしてもらおうぜってなって」
「そうだったんですか…」
「フェルゼンはどうだい?意地悪してないかい?」
「してませんよ。よくしてもらってますから」
「えぇ~。なんかないのかい?夜這れたとか」
「よばれたって、何にですか」
「えっとね、それは」
「カシェル!」
「うわ、地獄耳だねフェルゼン」
「なんの話だ?」
「お前ら仕事しろ!」
フェルゼンの怒鳴り声が響く。凄い顔である。
ぎょっとした私をよそに、カシェルとイーサンだけは笑顔であった。
実に、平和である。
「とっとと帰れ」
「えー」
「まだ戦いたりないが?」
実に、平和……?

