カシェルとフェルゼンが話していた、素手で魔物を殴る魔術師。そしてどうにかしてくれなどと言われる人物が、今の…。
窓から竜が見えた。背中に人影。イーサンだろう。破壊したというのを直しているらしい。竜があちこち暴れたら地面がえぐれたりしてしまうだろう。
「フェルゼンの友達って、なんか」
「言うな…自分でもわかっている」
カシェルといい、今のイーサンといい、変わり者ばかりな気がする。もっともまだその二人くらいしか詳しく知らないのだが。
フェルゼンが割れた皿を拾うのを、私も手伝う。
―――そんな突撃脳筋魔術師から、後日。
フェルゼンは邸をあけていた。私はというと、いつものとおり読書に勉強に散歩をしていた時のことだ。
再び脳筋魔術師は突撃(ではないけど)してきたのである。
さらさらな銀髪と、すらりとした体。魔術師は変わり者なのだろうかと思うほど。口を開かなかったら本当に美形なのだが…。
そんなことを思いながら「カシェルの変わりで来たんだが」という言葉を聞いていた。
イーサン・トロスウェル。カシェルの同僚で、魔術師。が、素手で魔物を殴るなど武人らしい面もある。そして、これからたまにカシェルの変わりに魔術指導してくれるなどなど―――。
話す感じは普通「魔術なんて勘に近い」…なのだろうか?いや、うん。
確かにカシェルと同じく、優秀な魔術師であるらしい。教えかたも上手い。だが、と戻ってきたフェルゼンにいきなり切りかかるのはどうだろう。馬鹿か貴様は!と怒鳴るフェルゼンを完全無視。剣を抜いている。
「出入り禁止にするぞ!」
「俺に不可能はない」
「この脳筋男!」
もう一人、私の隣にいる人物がいる。
フェルゼンとともにやってきたのだが、のんきに笑っている。

