ぶすっとしたまま、黒板を睨みつけるようにして、前を見据える。絶対に、左側なんて見ないように。
だって。
不安で、たまらなくなってしまうから。
「…ばか朔ぅ…」
消え入りそうな声を漏らして、ずるずると机に顔を埋める。すると。
「折野?」
カタンと音を立てて椅子が引かれるとともに、聞き慣れた声が耳に届く。
「俊くん」
そう。
何を隠そう私の隣は俊くんなのだ!彼も朔と並んでイケメンともてはやされているわけで、朔の彼女であり、俊くんの隣という凄まじいポジションに居座る私は、常に嫉妬の眼差しで射抜かれている。
ほら、今も。
教室前方から、凍えてしまいそうな怨念の視線がひとつ、ふたつ…。ふるりと思わず肩を震わせて、そっと顔をあげる。
「おはよう」
「うん、おはよう」
朝からモテモテだね。苦笑まじりに席に着く俊くんは、とても朝から朔にヘッドロックをかまし、その上、蹴りつけられていた彼と同一人物とは思えないくらい、大人びている。
前に、朔にそれを言ってみれば、苦虫を噛み潰したような顔になって、あの軟派野郎…と思いっきり舌打ちしてた。
後でしめるとかなんとか言ってたけど、軟派野郎は朔のほうだ!って思ったのは記憶に新しいし、今も結構思ってる。


