「お、金木犀!」
「秋だね」
「うん、いい香り~」
岬と歩く学校の中庭。
いつもなら、教室でお弁当を広げているけれど、お互いお弁当を忘れてしまうという奇跡が起こったために、本日は購買にて、昼食確保。
簡単にすませてしまい、せっかくなので開放されている中庭へと足を運んでみた次第です!
初めて足を踏み入れる中庭。
そこには、芳醇な香りが漂っていて。
『金木犀』
『花』
それは、私の名前。
花が大好きなお母さんと、植物研究者のお父さんの長女であり、一人っ子の私。
小さな頃から、図鑑が買い与えられ、野外ピクニックや、植物園が大好きだった。
綺麗な花や、美しく珍しい植物。
目移りしてしまうような自然の世界。
初めて名前を知ったのが、『金木犀』だった。


