「…あ」



ドキッと跳ねる心。



窓際の一番後ろ、机の横にカバンをかけて、腰掛けようとする朔の後ろから、ヘッドロックをかける朔の友達。



「…てめ…っ、死ね!」




「やだ~」



「…そんなだから、彼女できねーんだよ、くそ俊」




「ううっ!それを言っちゃあ…おしまいだぁぁぁぁ」



「うるせー」



うずくまり、悲壮感溢れる俊くんをげしげしと蹴りつける朔。相変わらず口は悪いし、態度もでかいけど。それでも。




「ははっ!」




輪の中で笑う朔が、眩しい。




起き上がった俊くんとじゃれて、笑って。窓から射し込む陽の光に、長めの黒髪がきらりと光る。




とくんとくん




付き合って、何年経ったって色褪せない。忘れない、忘れたくない、この先もずっとずっと。私は朔だけに、恋をする。





「ほんっとに、心底惚れ込んでやがるわね」





「…ん」



後ろ髪を引かれる思いで、なんとか目を外して、自分の席へと戻る。