「……ほらよ」
バッティングセンターの入り口横にある自動販売機で、勝利の証として飲み物をおごってもらうことになった。
ココアを受け取りながら、顔を上げられない。
「…いつまで笑ってやがる!おいこら沙耶!」
「ぶっ!」
こらえきれずに吐き出した息とともに、肩が小刻みに震えてしまう。
「も、もうダメ!くるし、……ぶふっ!ば、バッティングセンターでデッドボールする人、初めてみた……!」
「うるせ……!あーもう、二度とするか!」
バッティングセンターに八つ当たりする翔太。よっぽど恥ずかしかったらしい。普段あんまり見れない翔太を見れて、新鮮だった。
背中を向けて缶コーヒーを飲んでる翔太をにやけながら見る。ふと気がつくと、その後ろにある空は夕焼けに染まっていた。
思ったより時間がたっているらしい。次に行くところが、最後だ。
「ねえ翔太」
空き缶をゴミ箱に投げ入れて、翔太が振り向いた。
「もう一ヶ所だけ、行きたいところがあるんだけど」
翔太はいつもの調子で、”はいはい”って呆れた顔をした。
私もいつものように、”ごめんね、でも諦めて?”って顔をした。

