た事により、外交官として認められるだろう。まして時読みの後継者を従えて帰るのだ。戦になった時、有利なのは必定。だから、無事に草原を抜け出す事が重要だ。

道で無い道も避けずに強引に廓を走らせた。途中、馬車の手綱を交代して休息をもはかった。ナグサも馬車は初めてだったが、馬術訓練は受けていた為、最初はへっぴり腰だったが、うまく操作出来る様になっていった。

草原の果てが近づいた頃、休息を終えたシンラに手綱を交代した。
ナグサはもう二度引き返す事の無い道を最後の最後まで目に焼き付けておいた。

がたがた道が和らいだ。街に近づいた様だ。宿泊街も近いのだが、これまで同様帰路を急いだ。
馬達の休息の為、後一歩で王宮内という時に宿をとった。
馬達に餌と水を与えて休息をとらせた。
シンラもナグサも腹ペコで幾ばくかの米で夕食代やらに当てた。疲れ果てた為、一階の酒場ではなく、二階以上の個室に夕食を頼むとベッドに倒れこんだ。うつ伏せたままシンラがナグサに聞いてきた。「駆け落ちの件だけど、いずれ草原から使者がつく。辻褄合わせにカモフラージュしときますか」こいこいと手招きし 顔を見せずに言う。「嫌、そこまでシンラに迷惑はかけられない」それに私は雇用された身分だからな。疲れながらも安堵の笑みを浮かべそう言った。「王宮外交の名も廃るね」と疲れ顔のシンラも笑みを浮かべた。王宮内就業女性から同意を聞いてみたいものですね。との呟きと共にすぅすぅ寝息に変わりナグサを安堵させた。そして夕食を採ろうと温かいスープに手を出し、体をほっこりさせた。明日は王宮内に入るだろう。そこが私の新しい住まいとなる。言葉も通じない所で旨くやっていけるのかとは思いながらも寝静まったシンラを頼もしく思うナグサであった。


しばらくして、視察があった。

草原からで、二人の男性らしい。馬を夜な夜な駈けてきたらしい。幸、探してるのは男女の新婚アベックで、ナグサが少年として見られてる現在、該当者無しと宿屋の亭主は応えた。
視察は先を急ぐ為、泊まりもせず、夜の街中へと消え去った。

翌朝、シンラとナグサは宿をたった。

じきに王宮内に入ったのが解った。
詰め所に警備員がいて、シンラが一言二言言うと、態度が急に改まり待遇が良くなった。
王宮内は内壁に花の模様が設えてあり、草原に比べ、か弱いイメージがした。
だが、見事な装飾だ。「ナグサ。先に肉と米を卸に行っていいですか」シンラだ。コク