私を注意すると、倒れていた自転車とバイクをおこして、まだ座っている私に手を差しのべた。
「悪ぃな、お嬢ちゃん。自転車のタイヤパンクしてるんだ。おわびに家までバイクで乗せてってやるよ」
えっ、それは困る。
困惑したのは、自転車がパンクしたこと、見ず知らずの男性に家まで送ってもらうことの両方だ。
今、家に帰るわけにはいかない。
私は差しのべてくれた手を払って、自分で立ち上がった。
「結構です。家から近いので、歩いて帰ります」
「ふっ。かわいくねぇガキ」
男性に苦笑された。
よく見れば、男性はまだ幼い顔をしている。
バイクの免許は16からでもとれるから、案外高校生なのかもしれない。
そう年齢が離れてない人に子ども扱いなんて、されたくない。


