私は一度深呼吸をして、目の前に並ぶ小説たちに意識を集中させた。

 一冊、一冊、手に取ってページをめくり、気に入ればそのまま残して、その他は棚に直して。

 ぐるぐると本棚の迷路を行ったり来たり。

 いつも思うけど、ここでの時間はほんとに短い。

 時計の針はもう六時を指そうとしていた。そろそろ司書の人がここを閉めようとするだろう。

 選んだ本から貸し出しカードを抜き取って受付に行き、司書の人を呼ぶ。

 貸し出しカードを渡し、学生証を見せて本を借りる。

  最後に挨拶を交わして扉の方へ。

 そして、借りた本を鞄に入れながら扉に手をかけて開けた先に…