「この子は桐原杏里っていいます」 麻奈美があたしを指差した。 更に高鳴る胸。 何かを期待するあたし。 黒瀬先輩は麻奈美に頷くと、優しい表情であたしを見る。 「桐原、俺は黒瀬颯斗です」 ――あたしはこの高校に入学してから初めて、異学年交流授業に感謝した。 そしてちょっと、恋してて良かったって思った。