恋することを知った恋


いつものあたし、そして麻奈美なら、面倒くさいと言ってあくびをしながら向かうような授業だ。

でも今月の授業は違った。

やっと来たと言わんばかりに待ち続けていた、この授業。

わざわざ言わなくても誰もがわかる通り、あたしたちが想いを寄せる相手はどちらも、異学年である3年生にいるからだ。

「杏里、あたし湧太先輩も黒瀬先輩も絶対見つけるからね、安心して」

異学年交流授業の前の休み時間、麻奈美はあたしにそう意気込んできた。

何が安心してかはよくわからないけど、恋をしてから麻奈美とあたしの関係も更に良くなった気がする。

同じ気持ちを感じ合えるというか、なんというか。