恋することを知った恋


あたしは小さくため息をついて、麻奈美にもらったキャンディの袋をじっと見つめる。

子供の頃は、こんなキャンディでできた指輪を大切にしていたあたし。

このキャンディみたいにキラキラした、あの頃の純粋なあたしがいれば、恋は楽しかったかもしれない。

「杏里、大丈夫だよ恋は楽しいよ?」

麻奈美はキャンディを舐めながら、あたしに笑った。

麻奈美は完全に、“恋をするとウキウキする”派。

そんな麻奈美とは対照的なあたし。