あたしの後ろには、まだ彼がいる。 今振り返ったら、何か起こるのかな。 そんなことも考えたけどあたしの中の何かがそれを阻止するみたいで、彼には背中を向けたまま麻奈美を待った。 「お、黒瀬おはよ」 川嶋湧太が、そう声をかけた。 そしてあたしの背後から、声が戻ってくる。 「おはよー湧太」 黒瀬って、いうんだ。